小学校 算数

小学校 算数

計算のきまりを調べよう「式と計算」(第4学年)
2013.01.21
小学校 算数 <No.011>
計算のきまりを調べよう「式と計算」(第4学年)
福岡県 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「計算のきまりを調べよう『式と計算』」

2.本時の位置づけ

9/9時間

3.本時のねらい

 本時は,20このクッキーの代金を1種類,2種類,3種類のねだんの違うクッキーの組み合わせで考えて,答えが4000円になる1つの式にする方法を調べる。この学習では、子ども達が自分なりの見通しと根拠をもって活動することを目指す。そのために、モデルの図と条件を確認しながら自分の考えをつくっていく。具体的には①縦に5こ横に4このクッキーがはいっている箱②1列に入るクッキーの種類は,同じもの③20こ入りのクッキーの値段は、3000円④値段の違うクッキーを2種類入れる。という4つの条件を確認しながら、商品を考えていくことである。このとき子ども達は「クッキーを2種類にし10個ずつ同じクッキーにしたらよい。1つのクッキーの値段は,もし300円のものにしたら,代金は10こで3000円になるから,残り1000円を10個でわるのだから,代金は,100円になる。だから式は,100×10+300×10になる」などの根拠をもって活動することができるようになると考える。

4.本時の評価規準

観点

学習活動及び内容

数学的な考え方

 1つの式にしたときの計算回数の違いについて気付き,問題場面にある課題を簡潔・明瞭・的確の観点から考えることができる。

技能

 四則混合の計算式の計算回数に目を向け,図と式を結び付けて説明することができる。

5.本単元の指導計画

学習活動及び内容

具体的な買い物場面から問題をつくる。

2段階構造の問題[加減]を1つの式に表す方法を考える。
例 500-(150+80) ※( )のある式の計算順序をまとめる。

2段階構造の問題[加減乗除]を1つの式に表す方法を考える。
例 120×(5+3)

加減と乗除の2段階構造の問題を1つの式に表し,計算順序を考える。
例 500-(120×3),85+(600÷2)

四則混合の3段階構造の式の計算順序を考える。  
例 8×6-4÷2

整数の加減,乗法について分配法則・交換法則・結合法則が成り立つことを確かめる。

小数についても加法の交換法則・結合法則が成り立つことを確かめる。

加減,乗除の相互関係を考える。

整数の結合法則、分配法則を活用して条件にあったお菓子の詰め合わせを考える。

6.実践紹介

 条件に合ったお菓子の詰め合わせ商品を,個数,お菓子の種類と配列そしてそれぞれの値段に気を付けて開発することをねらいとしている。そのために,菓子折の観察,お菓子の配列の確認,菓子折づくりの場の設定を行った。具体的には、3種類のお菓子で4000円になる詰め合わせを、お菓子の値段や個数などの条件に気を付けて,1つの式に表して簡単に調べることができる方法を見付けていくことである。

【導入段階】
san011_011 まず導入段階では,20こで4000円になるクッキーの組み合わせを調べた。4000円でどのようなお菓子をどのモデルの形で詰め合わせるかを考え、一箱に入っているクッキーの数が20個であることを確認した。子ども達は、クッキー1個の値段が3000÷20で1個150円になることを確認した。そして条件が、一箱の値段が4000円に変わったとき,クッキーの値段は1種類のときには,200円になることを確認した。これを根拠として2種類,3種類の詰め合わせを考えるという見通しをもたせた。ここでの条件は、1列には、同じ商品が入らないといけないことであった。

【展開段階前半】
san011_021 次に展開段階では自分なりの見通しと根拠をもって活動した。A児は、「たてに5このクッキーが入っていて横に4このまんじゅうが入っている。列に入るクッキーの種類は,同じものなのでクッキーを2種類にし10個ずつ同じまんじゅうにしたらよいのではと考えながら、図に数値を入れながら、どのような詰め合わせがあるかを考えていった。A児が考えたのは、上に示した3つの考えである。もし300円のものにしたら,代金は10こで3000円になるから,残り1000円になるとして、2種類の商品の考えをつくっていっていることが分かる。これを基に、3種類の詰め合わせを考えている。また、何度も消しながら自分の考えをつくり直していることも分かる。条件に合うものを探すために、1つ1つに数を入れながら考えをつくっていった結果であると考える。

【展開段階後半】
san011_031 ここでは、どのようにしてお菓子の詰め合わせを考えたかを、図と式を結び付けて考えていった。まずどの考えも4000円になるお菓子の詰め合わせであることを確認し、出し合った考えを仲間分けしていった。仲間分けするときには、図を基にして縦に考えていったのか、横に考えていったのか確かめていった。その後,横の組み合わせを考えていく方が、縦に入れて考える方法よりも簡単ということを話し合いで見付けていった。これは、交流の時に,図をもとに早くできるものを考え直し,「B君が行ったように、よこの組み合わせを考えれば、縦に5個入っているのだから5倍すればいい。だから、横の組み合わせが、800円になるように考えれば簡単」という言葉に表れている。図でその箇所を示しながら自分の考えを柔軟に変えている姿に表れている。

【終末段階前半
san011_041 終末段階では、縦に入れて考えた方が簡単なのか、それとも横に入れた方が簡単なのかを追事象を基に考えるようにした。これが右に示すものである。
 A児は、縦に詰めて考えるものを2つ、横に詰めて考えるものを1つつくった。このように繰り返し、自分で考えるうちに、縦で考えるよりも横で考える方が簡単であることに気付いていったと考える。それは、一番最後に横の考えで行っていることや後ほど示す資料でのA児の発言から伺える。

【終末段階後半】
 下に示すのは、B児が発表した後のC児そしてA児の応答である。

san011_051 4種類のお菓子が入っていますね。さて縦に詰めたのと横に詰めた考えでは、どっちが簡単に早く商品を作り出すことができますか?
B児 横の見方が早いと思います。×10とかしなくても5000÷5とかをして,1000円の組み合わせを考えればできるから。
C児 B君が言ったように5000÷5をしたら,この列が1000円だから,1000円になる商品の組み合わせを考えれば早くできると思います。(横の列を示しながら説明している)
A児 自分も縦に入れる方法と横に入れる方法で考えたけど、どんな種類を入れればいいか考えるのが簡単なのは、横に入れていくものでした。横の列に入れることに納得しました。

 子ども達は、考えられる商品をすべて作り出すことができた。子ども達がつくり出したのは、「5000円の商品の種類」は,「(150+150+300+400)×5=5000」「(100+200+350+350)×5=5000」の式になる3種類のお菓子からなるものと「(100+200+300+400)×5=5000」となる4種類からなる商品である。これはただ単に当てはめて考えていく縦に詰める方法ではなく、まず1000円になる組み合わせを考えてから横に詰めていく方法を検討したから早く何度も書き直すことなく簡単につくり出した姿であると考える。
 以上のようにして、子ども達は、( )を使って計算していくことのよさを図と結び付けながら考えていった。